国 道
1号線
#001
2006.06.17 走行
前編

はじめに

国道1号線。ここ湘南での通称は"イチコク"。沿線の人は勿論、そうでない人も名前だけは知っているであろう、天下の一桁国道である。東京と大阪を結ぶ重要幹線であり、交通量も当然多いので、2車線区間でも道幅は特大車規格がほとんどで、市街地は当たり前のように6車線区間があったりする。
そんなイチコクを「酷道」にしてしまう区間がある。そう、箱根峠だ。「関東の正月は箱根駅伝で始まる」という程関東では有名な駅伝で、関東の人は毎年欠かさずテレビや現地で観戦している人も多かったりするという。

「駅伝の選手と自転車、どっちが速いかなぁ」
そう思った瞬間、急に箱根に行きたくなった。

突然思いついた無謀企画。果たして久留里は駅伝選手に勝てるのか?!

1 自宅から1時間半

12:24 [地図を表示]
自宅から延々と漕いで1時間半、ようやっと小田原の市街地に入った。市街地らしく道は6車線あり、天下の国道に相応しい造りである。


そろそろ給水しないとアカンことになるので、板橋駅で休憩することに。これが板橋駅の駅舎の内部だ。時刻表と運賃表は最近新調されたようだが、古い駅舎ならではの風情があって中々良い。これがJRだと窓口が鉄板で塞がれたり、無機質なプレハブ小屋に建て替えられるという無惨な状態になってしまうので、何時までも残していきたい風景だ。
ここは箱根登山鉄道の駅。しかし、ホームに出ると来る電車来る電車は小田急のバリバリ通勤型電車で、場所が場所だけに違和感もバリバリである。


駅を出ようとしたら、箱根湯本行きの電車が到着したので緊急企画を敢行することにした。名付けて「自転車VS電車、どっちが速い?!」だ。
元来小柄な登山電車規格の線路に大柄な通勤電車が走ってるこの区間。電車は必然的に20km/hの徐行運転をしなければならない。
笛がなる。扉が閉まる。ブレーキが緩み、シグナルが青になる………、電車VS自転車の無謀な戦いが始まった!!

先行をリードするのは電車。徐行運転とはいえ、やっぱり速い。
イチコクは早くも道幅を狭め、勾配がゆっくりと、しかし確実に急になっていく……。
一台のバスが久留里のバイクを追い抜く。そのバスは普段見る神奈中ではなく、箱根登山バスだった。


風祭駅を過ぎ、オダアツ(小田原厚木道路)の終点を過ぎると、箱根町に入った。電車は風祭駅で列車交換のため、今のとこ久留里がリード。余裕こいて写真撮影までしている。


で、イチコクはというと、こんな状態………………。6月半ばという微妙な季節にも拘わらず、他県ナンバーのクルマで大渋滞している。
既に箱根町には入ったのだが、「箱根」はまだまだ向こう。しかし、ここはイチコク。坂は大したこと無さそうだし、TVの箱根駅伝で観たあの急坂は旧道だろう。どうせ大したことは、大したことは………………、



ありそう……………。

ちゅうか"大芝"って何処やねん!!


駅伝中継による予習だと、箱根湯本駅を過ぎたら道幅が狭なって、坂が急にきっつくなるということくらいだ。しかし、これは何処の峠でも同じ事である。「天下の険」と言われる箱根だが、ここを通るのは「天下のイチコク」なのだから、それなりに改良されている筈だ。まさか国土交通省が改良したのが有料の箱根新道ですなんて巫山戯た事をぬかしたりはしないだろう。自転車の身にもなりなはれ。

路面状況と雲行きがだんだん怪しくなってきた。この時点で嫌な予感がするということは、この後は苦行の連続であることが大いに予想される。
箱根湯本駅の手前の三牧橋交差点で「旧道」が別れる。旧道は旧道だが、これは実はイチコクの旧道ではなさそうだ。


間もなく箱根湯本駅に到着。ここで電車はいよいよ登山電車に切り替わり、自転車もクルマも電車も本格的な「登山」が始まる。
流石観光地なだけあって、電車もバスも本数が多い。ちゅうか、バスの本数が尋常でない。観光バスがバンバン走るのは分かるような気ぃするが、路線バスの本数がやったら多い。地元の団地循環の倍はあろうか?


2 天下の一桁酷道<三桁国道

13:33 [地図を表示]
湯本駅を過ぎると、予習通り突然急勾配となり、道幅も狭まる。しかし、交通量はそのままなので、余計クルマに気を遣わなければならない。クルマの方も大変だろう。ただでさえ狭い道なのに、自転車が走っているのだから。

右の写真は駅伝でも解説された箱嶺洞門。1928年(昭和3年)完成。落石の多かったこの箇所のために設けられたという。洞門の前に渡った橋も同年代の代物で、箱根峠には古ーい構造物が多く、興味深い。築78年の老兵だが、今でも大型車の通行が可能(すれ違いはしんどいけど)なので、当時の設計者は未来の交通事情を予測して設計したのだろう。凄い!!


ヘアピンカーブの外側には、御覧のような旧道跡が随所に見られる。「改良=カーブが緩くなる」というのが一般的なイメージだが、「改良したら急カーブになった」というケースは意外と多い。


そしてとても印象的な180度ヘアピン。
雨の中、3位だった駒澤大学がトップ2校を一気に追い上げた(と思う)場所である。ここで、ロードバイクに抜かれ、対抗しようとしたら左足をハズしてしまい、ペダルに激突。痛かったので緊急停車……。


路面状況はというと、こんな状態である。これが天下のイチコクの本当の姿であり、6車線というのはただ単に他の国道や県道が重複しているだけに過ぎない。センタラインが無いように見えるが、タイヤの摩擦で消えてしまっただけであり、ちゃんと2車線分の幅はある。


14:28 [地図を表示]
ヒーコラヒーコラ言いながら坂を登ること50分。宮ノ下の集落が現れる。宮の下駅を過ぎると箱根路唯一の国道分岐点・宮の下交差点に到達し、ここでR138が分岐する。R1はここで右折となるのだが、信号機を見るとあたかも直進がイチコクに見える。交差点のすぐ先にR138のおにぎり(国道標識)が無ければ本当に山中湖へ行ってしまいそうだ。
ところで写真は振り返って撮影したもの。赤信号が点灯しているのではなく、点滅しているのだ。威厳ある天下のイチコクだが、山中ではこのように三桁国道のイジメに耐えていたりするのだ。


まがった瞬間、この激坂が待っている。明らかに15度はあり、坂が壁に見える。駅伝選手はここを同しペースで走るのだが、久留里は自転車で5km/hが限界。ヒトの足って凄いと思う瞬間だ。

イチコクの激坂・激狭は、(久留里が聞いた)全国の酷道から見ればまだ可愛いもの。だが、ここは一桁の国道であり、一桁国道にとってはやはり「酷道」である。
登山電車の方もスイッチバックを繰り返しながら80‰のスーパー急勾配を登り、標高をひたすら高めている。地図では何とも無いように見えるが、等高線を見れば明らかで、この辺りはトンデモナイ状態である。


小涌谷の集落に入ると、登山電車とイチコクとの唯一の踏切が現れる。すぐ右手に小涌谷(こわきだに)駅があり、今日は当然ながら観光客が多い。
箱根駅伝では、電車がここで、選手が通過するまで待っているというシーンが見られるという。しかし、この時は時間が合わなかったせいか、電車は現れなかった。


小涌谷駅を通過すると、イチコクと登山電車はここでお別れ。イチコクはこの後、峠まで孤軍奮闘となる。
延々と続く上り坂。ずーっと上り坂である。だいぶ走ったが、元箱根でさえあと7kmもある。


ユネッサンを過ぎたにも拘わらずまだバスがバンバン走っている。近くのバス停で休憩し、時刻表を見る………………、

あっつ!!あっついで箱根!!
こんな山奥なのに10分ヘッド!!東海道線も真っ青の本数である。


いよいよ熱なってきた箱根峠。
テレビでしか見たことのない彼の地を求めて後半戦へ!!

—国道1号線「箱根峠」—前編
ひまわりデザイン研究所