09静岡険道11号線〜熱海坂〜

  • 走行2008.11.03
  • 最終更新2008.11.20

0.はじめに

神奈川県〜静岡県を結ぶ交通路はいくつかあるが、このうちJR東海道線に沿って通る道路が1つだけある。
それが今回お見せする静岡県道11号(r11)である。

県道番号からお察しの通り、県道の中でも格上の“主要地方道”であるのだが、実際は本当に主要地方道なのかと疑いたくなるような状況となっていた。

道が狭い? いや、むしろ広い。

崩れてる? いや、それもない。

険しいのだ。

凄まじく険しいのだ。

(道路マニアの間では)有名なあの暗峠ほどではないと思うが、道が凄い事になってしまっているのだ。一体何がどんな風になっているのかって? それをこれからご紹介いたしませう。
ちょっとコンディションの悪い久留里。果たしてこのr11を無事に通り抜ける事が出来るのだろうか。

1.隠された道

2008.11.3 07:00 [地図を表示] 茅ケ崎駅から始発列車に揺られて1時間。熱海駅についた久留里は早速自転車を組み立て、飲み物を買って朝食を済ませてから駅を発つ。熱海から乗るのは東伊豆を走った時以来であり、あれから既に2年近くも経っていた。
その間、自転車はパーツ交換により少しずつ軽くなった反面、肝心なエンジンが重くなってしまったので、結局総重量は2年前と変わらないorz。

当初はr11を全線走る予定であったが、ショパンの事情により今回のレポはr11の起点から少しズレた所からスタートする。 高台からゆっくりと市道を降り、まずは伊東線来宮(きのみや)駅へ移動する。地図で見れば分かるとおり、熱海駅と来宮駅との間はそれほど離れていない。平地であれば余裕で歩ける距離だ。しかしここは断崖絶壁の熱海市街。市街地のど真ん中でもアップダウンが激しいので下った分だけまた登り直さなければならない。

r11とr20が交差する福道町交差点の1つ手前、名無しの交差点右手に立派な石造りの隧道が見える。
これはr11と2度も重複するr20のもので、中々お洒落で可愛らしいデザインだ。真上は東海道線と伊東線が通っているので、厳密に言えば「ガード下」と言えるのだが、まぁ、あまり細かいコトは気にしないことにしよう。
ちゃんと上下1本ずつ設けてある上、高さが3.5mしか無いので、大型車が迷い込まない限りは大渋滞になることは無かろう。

その次の交差点が「福道町交差点」。ちょっとややこしいので写真の右下に図も入れておいた。直進はr11でこれから進む方向、左折はr11r20の重複区間で、両路線の起点であるR135中央町交差点に至る。パッと見、何の変哲のない交差点にしか見えないのだが、さり気なく県道が3本も交差する大ジャンクションだったりするのだ。ホンマ、えらい地味な交差点やわ。
r11とのお付き合いはここからなのだが、何か中途半端なので険道調査は来宮駅からスタートすることとしよう。

はい? r11とr20しか無いのに何で「3本も交差する」と書いたのかって?
おっと忘れてた。実はここから91m先の来宮駅にわたって、さり気なくr104全線重複しているらしいんですよ。r104こと「静岡県道104号来の宮停車場線」の存在は家に帰ってWikipediaで見て知ったのだが、現地にはヘキサも何も無かったので、何処が起点で何処が終点だからはハッキリとは分からなかった。静岡県庁まで押しかければ教えて貰えるのかも知れないが、多分職員のほとんどもr104の存在を知らんのとちゃいまっか?

お付き合いと言えば………。
福道町交差点でr11と別れたr20こと「静岡県道20号熱海箱根峠線」は、約400m上にある交差点で再び顔を合わせることになったりする。今回はショパンの事情につき、r20の調査はまた今度のお楽しみ、というコトで堪忍したって下さい。

2.お出迎え

07:18 [地図を表示] 来宮駅のシンプルだけどお洒落な駅舎が見えると、さっそくr11のヘキサがお出迎え。ここにr104のヘキサがあれば静岡をネ申認定出来たのだが、やっぱり無かった。r104が日の目を浴びる日は来るのだろうか?

今回の行き先である沼津までは、あと26km。結構あるなぁ。
r11はここから4kmほど離れた先にある「笹尻交差点」でバイパスが分岐するが、久留里が通るのは勿論旧道の方。
しかし、今回は体調があまり良くないので、無理そうならバイパスを通り、その前に身に危険を感じたら即熱海駅に引き返す事にしよう。

水分補給を終えて駅を出る。よし、行くで!!
ところが……………、

(˚Д˚)ハァ?
いきなり現れたのは何と急勾配!! さっそく銀龍号の変速機を“登山モード”に切り替え、ゆっくりと登る。
まさか登山モードを駅出ていきなり使うとは思わなんだ。

↑と同じ場所で撮影。写真上での道路の角度はだいたい5.7°。これを計算すると、何と10%の勾配に相当する。
これがもっと山奥だったら別に驚いたりもしないのだが、ここはまだ駅を出て100mしか過ぎていない。この坂が笹尻まで延々と続かないことを節に祈りたい。

坂を上り終えると、そこはフラットに……はならず、ただ勾配が緩くなっただけだった。
この場所で後ろを振り返ると、ちょうど反対側写真に勾配標識が。標識上では、さっきの坂は10%ということが確定した。
駅を出ていきなり10%とか、なんちゅうトコに道通してんねん! しかし、ここから先は勾配が緩そうなので、意外とのんびり登れそうだ。

ところが、そうは問屋が卸さなかった。r11は梅園前交差点を境に再び斜度を上げ始めてきたのだ。何という非情な県道、r11。
右手に見える熱海梅園から見る梅たちを眺めている場合ではない。この険道、大暴れしだす前にさっさと登って倒してしまった方が得策とみた。しかし、地獄はこれからだった。

交差点を出てちょっと行った所に、こんなモノを見つけた。この険道もとい県道には「熱海梅ライン」という愛称があり、確かに今、右手には熱海梅園の梅の木達が嫌でも目に入る。嫌ではないけど。
生憎今は11月なので、見えるのは梅色の花ではなく、丸坊主の木々だけだ。

07:25 [地図を表示]

この険道の唯一の救いは、道が広くて舗装も比較的綺麗な所だろうか。確かに坂がキツくてウンザリしているものの、後ろから大型車以外に煽られる事無くのんびり登れる。
え? この写真だと大したこと無い様に見える? それなら次の写真をお見せしよう。

現在の坂の状況は、こんな案配。写真が傾いているのではない。電柱が傾いてるのではない。路面がこれだけ傾斜しているのだ。今の斜度は真横から見てだいたい7度なので、計算すると実に12.3%という事になる。さっきから身体が後ろに引っ張られるカンジがするのは、どうやら気のせいではなかったようだ。

市街地から徐々に離れていくにつれ、反対側車線(熱海方面)の様子がだんだんおかしくなってきた。
滑り止めの赤いしましま舗装の上にでっかく書かれた低速ギアの文字。これはつまり「エンジンブレーキを併用しろ」という事なのだが、確かにこの尋常でない勾配では下るには、フットブレーキだけではブレーキが焼けてしまいそうだ。

だが、言い方を変えれば、エンジンブレーキさえ上手く使えばこの坂は何とかクリア出来るということだ。
だが、自転車でこの坂を下るのなら話は別だ。自転車はエンジンブレーキが使えないので、万が一ブレーキが効かなくなったら……………((((˚Д˚))))ガクガクブルブル
油圧ディスクブレーキ搭載のMTBなら何とかなりそうだが、リムブレーキ式のロードバイクは正に命がけのダウンヒルとなろう。テラコワス……。

さいしょの ジャンプだい が あらわれた!!
いや、反対側車線基準なら「さいごのジャンプだい」と行った方が正しいか。山岳県道名物「緊急避難所」が早くも出現。コイツが設置されている時点で、r11は既に"普通の"険道ではない。
このジャンプ台の本来の用途は、「ブレーキが故障して停まれなくなったクルマを無理矢理停めさせる」こと。同じモノを箱根の七曲がりでも見たことがあるのだが、路面はわざとボコボコになっていて、確かに何とか停まれそうな雰囲気だ。だが、速度次第では停まりきれずに本当に天国へジャンプしかねませんなぁ……。

もしこの坂を下る時、銀龍号のブレーキが故障したらこのジャンプ台にお世話になろう。
しっかし、路面がボッコボコなので、自転車も乗ってる人もフルボッコされて、結局「助かりませんでしたw」というオチだけは堪忍……。

3.危険信号

07:37 [地図を表示] 泣きたくなるほどの急坂をのこのこ登ること30分。ようやっと1.7km進んでこの交差点に到達した。ここからは市営相の原団地への市道が分岐しており、その団地はこれまた尋常でない勾配でぐいぐいと登っている市道の終点にあるのだが、よく考えて欲しい。
なんちゅうトコに団地造ってんねん!! どう考えてもその立地が尋常でない。山のてっぺんまで団地だらけの横浜がえらい可愛く見えてきたのは気のせいだろうか?

相の原団地への分岐を過ぎてから、r11は更に斜度を増してきやがった。これはコンディション最悪の久留里に(・∀・)カエレ!!と言っているのだろうか? 言っているに違いない。
確かにこの時の久留里は脳内どころか身体全体に渡って危険を知らせる警報がけたたましく鳴っており、普通の一般人なら身の危険を感じて泣く泣くリタイアする所だが、正直、このまま帰りたくはない。ここまで来てしまったら、もう引き返すわけには行かないのだ。

そう言えば、いつの間にか左側に登坂車線が現れている。腐ってもここは主要地方道。そこらの県道とは格が違うのだよ。険道っぷりもそこいらの県道とは違うだろうが。

うわぁぁあああああああ!!
登りも帰りたくなるほどキツいけど、下りも同じくらいキツそうだ。気がつけば来宮駅のスタート地点からだいぶ高い所に来ている。たった数kmしか走っていないのに。

平均12%の急勾配は休むことなく延々と続く。文字通りの「地獄坂」。
このテの坂を攻略する方法として、セルフつづら折れというのがある。道路を端から端まで横方向にぐねぐねと走って勾配を緩和するという方法だ。要は“蛇行運転を極端にしたもの”なのだが、効果は大きい。
だが、r11ではこれが通用しない。なぜならば、交通量が意外と多いからだ。クルマがバンバン来てはセルフつづら折れは不可能だ。仕方がないので休みながら少しずつ、牛歩の速度で登っていく。

ちょいと休憩。11月だというのに何故か紫陽花が咲いていた。

07:58 [地図を表示] 相の原団地の分岐からヒーコラ言いながら登ること20分。遂に青看が現れた。「500m」先にあるのは勿論笹尻交差点だ。
あと500m……あと500mでこの登り坂地獄から解放されるのか。そう思うと幾分気が楽になってきた。

今まで走って来た道を振り返る。たった5kmしか走っていないのに、随分と高い所まで来てしまった。
ここに来た時点で、久留里は自身の安全性を考慮して笹尻から先はバイパスを通る事に決めていた。笹尻を過ぎれば後は下るだけなのだ。そう、坂道というのは登るためではなく、下るためにある。こいつの残りHPはあと500(m)。さっさと倒して後は思う存分ダウンヒルを楽しもうではないか。

カーブを曲がると、立派なトラス橋が現れた。あれはもしかして、先ほどの青看でも案内されていた「伊豆スカイライン」のものだろうか。
また随分とばかに高いトコ走ってますな。

(ˊAˋ)
急勾配の坂道において、直線道路ほどゲンナリするものは無い。久留里は遂に力尽き、その場で崩れ……はしなかったものの、最後は押して登ることになった。舗装路で押して登った事はほとんど無い。別に構いやしない。坂というのは登るものではなく、下るものだ。

08:12 [地図を表示] フラフラと自転車を押しながら坂を登っていくと、4kmにわたって延々と続いていた急勾配も穏やかになり、その先から久々の信号機が現れた。
笹尻交差点だ。標高400m下にある福道町交差点で別れて以来それぞれ別ルートで通っていた2本の県道が、ここで再び合流する。
久留里はここを左折してバイパスに逃げるが、r11の旧道はこの先r20と重複しながら熱海峠を目指し、途中から二手に分かれて名無しの峠を目指し、そこから延々と下る事になる。

笹尻交差点をr11バイパス側から見る。このアングルから見ればちょっとヘンテコな三叉路にしか見えないのだが、実は変則4叉路であり、申し訳なさそうにもう1本、r20が分岐している。残った3本は全てr11であるのは興味深い。

さて、次回は下り編だ。え? 何だかんだ言って結局登っているんだろうって? いやいやいやいや。ホンマにBPで下りたんですってw
旧道の方は次回、久留里のコンディションが非常に良好の時に調査するとしよう。聴いた話では、旧道はさっきまで延々と続いていた12%が可愛く思えるほどとんでもない勾配らしい。うわぁ……登れるかな。

—静岡険道11号線〜熱海坂〜
ひまわりデザイン研究所