08神奈川険道737号線〜裏箱根〜

  • 走行2008.4.26
  • 最終更新2008.12.29

0.はじめに

険道737号線こと神奈川県道737号長尾芦川線は、神奈川県箱根町の長尾峠から芦ノ湖の西岸を経由して同じ町内の元箱根字芦川地区を結ぶ県道だ。
以下に、暇潰しで作った地図を示す。

マップ上の各ポイントを選ぶと、何かが出てくる。一番上(北)の赤いポイントは長尾峠であり、神奈川県道736号線(r736)上にある。北側に国道138号(R138)の乙女トンネルがあるが、これが開通する前はr736が国道だった。
その長尾峠の手前でr737は分岐している。なお、こちらが書類上の起点である。
ところが、Googleマップ(というかゼンリン製の地図)にはr737の道が描かれていない。
上の地図に書かれている道形は、国土地理院の電子地図に描いてあるものを参考にしたものだ。詳しい線形はそちらを参照されたし。

流石は我ら道路マニアの強い味方、国土地理院である。地図には確かに険道らしい道筋が描かれていた。地図を見る限り、一番の難関は長尾峠からゴルフ場にぶつかる区間だろう。峠から約1kmの道のりを、何と一気に220mも下っている。まるで富士山のダウンヒルコースの様である。
ゴルフ場にぶつかると、県道は南に進路を変え、ゴルフ場の中を通って湖尻の水門に行く。ここまでを北側と呼ぶことにする。
湖尻の水門からは芦ノ湖の西岸を通ることになる。またしても道は点線。点線のまま西岸を通ってイチコクこと国道1号線(R1)にぶつかって終点を迎える。残りの区間は正式な愛称である芦ノ湖西岸歩道または単に南側と呼ぶ事にする。
県道は全線に渡って「点線」で描かれており、おまけに国土地理院の地図は県道の色分けはなされていない(※)。久留里がr737のルートを特定出来たのは、愛用しているYahoo!の地図のおかげである。Yahoo!の地図は、例えそこが廃道同然の極悪非道DQN険道でも、ちゃんと黄色い線で描かれている。所詮は無料のweb地図なのだが、Yahoo!の地図は非常に「使える」地図なのだ。
(※ 2016年4月15日追記:2016年現在は県道も色分けされている。しかし、r737はゴルフ場に沿った区間だけ色分けされていない)

これは面白そうな道だ。だもんで、早速走ってきたのでこの道をレポートします。

久々のレポートなので、まずは長尾峠までの道のりから……。

1.登山電車

2008.4.26 05:49 早朝の茅ケ崎駅。ホームには、得体の知れない物体が。 なるべく明るい時間帯に探索したいため、今回は往路に輪行する事にした。1年ぶりの輪行だったので、パッケージングに一苦労。お陰様で始発に間に合わず、その次の列車で小田原へ。

こうして箱根湯本駅に到着。ホームにはタイルで出来た紫陽花と登山電車のイラストが。
そう言えば、箱根登山鉄道線の沿線は紫陽花が沢山植えられており、梅雨になると「あじさい電車」が走る程の名所となっている。

箱根湯本で登山電車に乗り換える。発車するや否や、いきなり80‰(8%)の急勾配がお出迎え。クルマなら何とか登れるレベルだが、鉄道では特殊装備無しでは登れない。
因みに箱根登山鉄道の80‰勾配は、一般の鉄道では日本一のキツさだ。

茅ケ崎を経っておよそ2時間。久留里は強羅駅に到着した。初めて乗った登山電車はスリル満点だった。
自転車があったので運転席側に座っていたのだが、電車はフルノッチ(アクセル全開)でも30km/h以上出す事は無かった。坂がキツすぎて速度が出ないのだ。

標高553m。標高の高さも手伝って春の箱根の朝は寒い。身体が北国仕様の久留里でさえ寒いと思った。予報は曇りで降水確率は20%。しかし、強羅に着いた時点では霧雨が降っていた。

さて、準備も整った事だし、そろそろ行きまひょか。
………と、その前に────。

ぬこかわいいよぬこ

2.裏街道

08:20 [地図を表示] 強羅駅から長尾へ行く為には、国道138号線(以下、R138)を利用する。駅を出てさっそく現れたのは10%オーバーの激坂。強羅坂という名前であり、歴史もあるのだろう。ちゃっかり県道指定を受けている。

強羅坂を下り終え、R138とぶつかる。写真はR138の乙女峠方面を向いて撮影。R138とは長尾峠の入口までしばしのお付き合い。

うほw 旧道のかほりが……。よし、ちょいと行ってみよう。

ぐはっ。やっぱりで行くべきでなかった。

1.5車線の細道は確かにR138と併走する道だったが、ただの町道だった。細道は途中で私設林道と分岐した後、180度向きを変えて写真の場所で再びR138に合流した。
このまま真っ直ぐ行くと強羅まで逆戻りなので、また180度向きを変えて長尾峠を目指す。

町道から再びR138に入ると、すぐに洞門が現れた。この辺りでは割と有名な碓氷洞門。函嶺(はこね)洞門同様に歴史のあるモノかと思いきや、そんな昔のモノでもなさそうだ。

なお、ここから仙石原までのおよそ2kmが通行規制区間となる。先日の嵐の時は全線通行止めだったんだろうなぁ。

延々と続く坂を登ってようやっと仙石原へ到着。ここ仙石原交差点では県道75号(r75)が分岐する。r75はこの先、仙石高原を通って湖尻へ。そして、一旦坂を登って芦ノ湖の東岸を経てR1に合流する主要地方道だ。
つまり、芦ノ湖は東岸も西岸も県道で結ばれている事になる。西はともかく、東岸の山道がどれだけ重要視されているかが良く分かる。

[地図を表示] 仙石原交差点を過ぎると、R138は再び登坂開始。この先、乙女峠まで延々と登り続ける。仙石原交差点から250mほど離れた所に「金時山登山口」というバス停があり、そこからは1本の頼り無い細道が分岐。何を隠そう、これは歴とした県道なのだ。知る人ぞ知る県道731号矢倉沢仙石原線(r731)で、金時山を経て足柄峠へ行く登山県道だ。

実を言うと、当初の予定では、今日の探索を終えた翌々日にr731を走るつもりだったが、都合がつかずに断念。でも、スタート地点(区間上はこちらが終点)が分かったので、次回はここから走るとしよう。

r731の終点(金時山登山口)からバス停2つ分走ると、今度は「金時神社入口」というバス停が現れる。こちらからはもう一つの金時山登山道が別れており、途中で金時神社を経由するという。
トイレ休憩のついでにこちらで良い写真が撮れたので、この次の節でお見せしよう。

3.再挑戦

09:30 [地図を表示] 今回通るルートをお見せしよう。この地図、金時山の周辺を描いたものだが、今回通るr737も一部分だけだがちゃっかり記載されている。マウスの矢印を写真に当てると、どれがどの道だかがよく分かると思う。久留里はこの先、R138(オレンジの線)を北上し、途中からr736(黄色い線)を利用して長尾峠へ向かう。

事前情報によると、r737は長尾峠の手前で分岐しており、非常に分かりづらいとのことなので、峠についたら念入りに調べてそこから進入。そのままおそらく素晴らしい事になっているであろうr737を調べながら走る。予定では、“北側”区間はお昼までには湖尻水門に辿り着けられると考えている。

上の地図のアップ。r737は長尾峠を発った後、一直線に坂を下って、南北に延びる車道にぶつかる。そこを南に折れて湖尻水門まで向かうのだが、そこは何とゴルフ場の中を通るという。
最大の難関は峠から車道にぶつかるまでの間。冒頭の国土地理院の電子地図をもう一度開いて頂きたい。冒頭でも書いた様に、等高線の密度が尋常でないのだ
つまり、伊豆のメガ勾配を春香……いや、遙かに凌ぐ壁坂で駆け下ることが予想される。

まぁ、昨年6月に富士山でシゴかれたので、何とかなると思うんですけどね。だから今日、ここまで来たワケで。

その後は芦ノ湖の西岸をひたすら走るだけ。実は昨年4月に“南側”は走破済みであり、路面状況や走破に掛かる時間は既に把握済みである。実はこのr737、久留里が初めて走った「シングルトラック」であり、正にMTBの本領を発揮するような凄い道だった。無論、運転テクニックなど頭ですら理解していない時分だったので、マトモに走れずにいた。
その後、茨城へ遠征して茨城のグランドキャニオンを走った。その翌月、生まれて初めて富士山でダウンヒルをした。ダウンヒルは恐かった。でも、一緒に走ってくれた自転車仲間のお陰で、バランスの取り方を覚えることが出来た。
その後、長いブランクがあった。そして今日、苦い思いをしたr737をまた走ることになる。果たして、久留里はどれだけ走れる様になったのだろうか。

おっと、こんな事を考えるのはまだまだずっと後だ。まずは長尾峠を目指さねば。
サドルに跨り、久留里は地を蹴って登山口を後にした。尚、この登山口のすぐ側に金時山林道の入口もあったりする。良心的な茨城県とは異なり、案の定、入口はゲートで閉ざされていた。

延々と続く登り坂の途中で、道が一本分かれる。そこにはお地蔵はんと「乙女峠〜」から始まる碑が鎮座していた。地図を確認すると、その道は乙女峠への登山道だった。R138が開通する前の言わば「古道」であり、かつてはこの道を通って裾野と小田原を結んだのだろう。
車道を通す時にメインルートを長尾峠に移したものの、今は再び乙女峠を通っている。お地蔵はんは、これまで一体何人もの旅人を見守ってきたのだろう。

お地蔵はんと碑の隣には、「乙女峠 40分」「長尾峠 60分」と書かれた道しるべ。その奥にはさっきも見掛けた登山地図。乙女峠も、長尾峠も、2000年代に入った今でも、多くのハイカーに愛され続けているようだ。そして、久留里もまた、長尾峠を目指す。車道の方だけどね。

09:48 [地図を表示] スタートしてから1時間半弱。久留里は遂に長尾峠の入口へ到達した。
R138とのお付き合いはここまで。ここからは「かつて国道だった」r736とのお付き合いとなる。

—神奈川険道737号線〜裏箱根〜—その1
ひまわりデザイン研究所